文書名相続税理論 虎の穴 第6日目
文書番号00107
作成日2013/12/27
ジャンル相続税法
税理士試験は大量の理論を、「一言一句」レベルまで暗記しなければならない。試験前には、消費税だと30理論程度、所得税や相続税は60理論程度、法人税に至っては70以上の理論がある。これを試験前にはスラスラと口から出てくる状態にまでもっていかなければならない。だから、複数の科目を勉強する場合は、合計で100以上の理論を暗記することが必要になる。1年間で何科目も合格するのが困難である理由がここにある。
このような状況なので、必要に迫られて巷にあふれている暗記のノウハウ本や脳科学などの書籍を読みあさった。
暗記のノウハウ本に書かれているのは、ほぼ共通している。それは、関連付けだ。実世界のモノと暗記すべき事項を関連付けて、思い起こすインデックスとすれば良いというのが、この手のノウハウ本のエッセンス。一夜漬けの試験でよくやる語呂合わせも、覚えやすい言葉に暗記の内容を関連付けようというものだから、関連付けだ。
税理士試験でも、語呂合わせはないことはない。例えば、所得税の平均課税制度で変動所得という概念がでてくるが、これが適用される業種は、限定列挙だ。これを覚えるのに語呂合わせを使った。
「ハマに光る星」 ⇒ ハマチ、真鯛、ヒラメ、カキ、うなぎ、帆立貝、真珠の養殖 これらの業種は漁獲量なども安定しないことから、所得を一定のやりかたで平均して所得税額を計算する。理論を書くときはこれを正確に書く必要がある。しかし、うろ覚えだと、ふぐの養殖はどうだっけ、うなぎは入っていたのかなと迷うことになる。その意味で語呂合わせは、ヒットすれば極めて強力なツールだ。
しかし、1ページ以上の内容を一言一句覚える場合は、語呂合わせは役に立たない。暗記のノウハウも役に立つことはない。それだけの大量の情報を関連付けで覚えよることはできないからだ。
そこで暗記のノウハウではなく、それでは暗記とは何か、もう一歩踏み込んで、脳の仕組みはどうなっているのかということを考えていくことになる。
記憶には短期記憶と長期記憶があることは、諸兄もご存知のこと。短期記憶はパソコンのメインメモリのように、作業するためのメモリだ。作業に必要な情報を一時的に保存しておく場所。この記憶領域は、すぐに覚えることができるが、すぐに忘れてしまうという特徴がある。そして、あまり大量な情報を一時に保持できないのも特徴だ。これを記憶するのは海馬という場所だそうだ。短期記憶の記憶量は、トレーニングで増やすことができるようだ。何度も暗記を繰り返していると一度に覚えることのできる量が増えていくことを実感する。
長期記憶は、短期記憶から得た情報を長期間保存しておく場所だ。パソコンでいうとハードディスクに該当する。大量の情報を記憶することができる。しかし、情報検索が難しい。情報検索とは、つまり思い出すという意味である。これを記憶保持しているのは大脳あたりらしい。一説によると、人間の脳は全てのことを忘れずに長期記憶として保持しているらしいのだが、それを検索できないので忘れてしまったと言っているにすぎないらしい。(真偽不明確)
短期記憶から長期記憶にデータを焼き付ける、または、長期記憶から作業領域の短期記憶にデータを引き出す。これが、覚えることと思い出すことだ。このように書くと、まるで安堂ロイドになったような気分になるが 笑
脳の仕組みをこのように理解すると暗記方法は自然とわかってくるようになる。
① 短期記憶で覚えることが可能な量(センテンス単位、単語単位)を反復して繰り返し、それを長期記憶に焼き付ける。
② ①が完了すれば、次のセンテンスでも短期記憶⇒長期記憶というふうに記憶していく。
③ ある程度の量を長期記憶に保持できれば、それを長期記憶から短期記憶にアップロードしてみる。うまくアップロードできれば、その部分は記憶完了ということだ。もしできなければ、まだ覚えていないということになる。私は、この一連の作業のことを「理論暗誦」と呼んでいる。
この①~③の作業を何度も繰り返すことが覚えるということになる。ちなみに一度覚えてしまった文章は、忘れているように思えても、次に覚え直しをするときは、最初かかった時間の十分の一くらいで可能になる。このことをみると、忘れているように思い込んでいるのだが、実は、長期記憶にはそのデータは保持されており、検索できないだけなのだとよく理解できる。一度覚えた理論の覚え直しのことを、私は「理論回転」と読んでいる。
【本日の理論回転】 1時間42分
問題 1-1 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲、課税価格
問題 1-2 贈与税の納税義務者及び課税財産の範囲、課税価格
問題 3-1 相続税の非課税
問題 3-7 小規模宅地の相続税の課税価格の計算の特例
問題 3-8 特例対象宅地等の用語の意義
問題 3-11未分割遺産に対する課税
問題 4-4 配偶者の相続税額の軽減
問題 5-1 相続時精算課税制度
問題 6-1 相続税の期限内申告
問題 7-2 物納
【本日暗誦した理論】
問題 6-2 贈与税の期限内申告
[1] 提出義務者及び提出期限
(1) 本来の提出義務者
(1) 本来の提出義務者
贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税額(贈与税の配偶者控除の規定の適用を受けないものとして計算した金額。以下同じ。)があるとき又はその財産が相続時精算課税財産であるときは、その年の翌年2月1日から3月15日まで(同年1月1日から3月15日までに納税管理人の届け出をしないで法施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、その住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、期限内申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(2)提出義務の承継者
次の場合には、その死亡した者の相続人又は包括受遺者は、その相続開始を知った日の翌日から10月以内(その者がその期間内に納税管理人の届け出しをしないで法施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、その住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、その死亡した者の期限内申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
① 年の中途において死亡した者がその年1月1日から死亡の日まで贈与により取得した財産の価額につき贈与税額があることとなるとき
② 相続時精算課税適用者が年の中途において死亡した場合に、その年1月1日から死亡の日までに相続時精算課税適用財産を贈与により取得したとき
③ 期限内申告書を提出すべき者がその申告書の提出期限前にその申告書を提出しないで死亡した場合
(3) 提出期限の特例
税務署長は、災害等の理由により、申告期限までに申告することができないと認めるときは、その理由がやんだ日から2月以内に限り、その期限を延長することができる。
(4) 提出を要しない場合
① (1)(2)の規定は、期限内申告書の提出期限前に贈与税について決定があった場合には、適用しない。
② 相続時精算課税適用者が相続時精算課税適用財産を取得した場合においては、特定贈与者がその贈与をした年の中途に死亡したときは、その財産については、期限内申告書を提出することを要しない。
[2] 納付
期限内申告書を提出した者は、その申告書の提出期限までに、その申告書に記載した贈与税を国に納付しなければならない。
問題 7-1 延納
[1] 適用要件
(1) 内容
税務署長は、相続税又は贈与税の申告書の提出又は更正もしくは決定を受けたことにより納付すべき相続税額又は贈与税額が10万円を超え、かつ、納期限まで又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として一定の額を限度として、年譜延納の居家をすることができる。
(2) 延納期間
① 相続税
(イ) 一般の場合 5年以内
(ロ) 不動産等の割り合いが5/10以上の場合
・・・ 不動産等部分の相続税額 15年以内
・・・動産部分の相続税額 10年以内
(ハ) 森林計画立木の割り合いが2/10以上であり、かつ、不動産等の割り合いが5/10以上の場合
・・・森林計画立木部分の相続税額 20年以内(特定森林計画立木部分の相続税額は40年以内)
(ニ) 不動産等の割合が3/4以上の場合
不動産等部分の相続税額 20年以内
② 贈与税
5年以内
(3) 相続税の延納期間の特則
円納税額が50万円((2)①(ロ)の場合には150万円、(2)①(ハ)(ニ)の場合には200万円、特定森林計画立木の場合には400万円)未満であるときは、その延納期間は、延納税額を10万円で除して得た数(一年未満の端数切上げ)に相当する年数を超えることができない。
(4) 相続税の延納年割額
延納年割額は、延納税額を延納期間に相当する年数で除して計算した金額((2)①(ロ)(ハ)(ニ)の場合には、延納税額を不動産等に係る延納相続税額と動産等に係る延納相続税額とに区分し、これらの税額をそれぞれの延納期間に相当する年数で除して計算した金額)とする。
(5) 相続税の分納税額の特例
税務署長は、課税相続財産の価額のうちに森林計画立木の価額が占める割合が2/10以上であるときは、新かりん計画立木部分の税額については、納税義務者の申請により、その立木の伐採時期及び材積を基礎として分納税額を定めることができる。
[2] 担保
税務署長は、延納の許可をする場合には延納税額に相当する担保を供さなければならない。
ただし、その延納税額が50万円以下でありかつ延納期間が3年以下である場合はこの限りでない。
[3] 申請
延納の許可を申請しようとする者は、相続税又は贈与税の納期限まで又は納付すべき日に、一定の事項を記載した申請書に担保関係書類を添付し、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
[4] 延納申請の許可又は却下
税務署長は、延納の申請書の提出があった場合には、調査に基づき、その申請書の提出期限の翌日から3月以内(その調査に3月を超える期間を有すると水戸メリときは6月以内)にその申請に係る税額の全部又は一部につきその申請に係る条件若しくはこれを変更した条件により延納の許可をし、又はその申請を却下する。ただし、延納の許可をする場合において、その申請者の提供しようとする担保が適当でないと認めるときは、その変更を求めることができる。
[5] 許可の取消し
税務署長は、延納の許可を受けた者が、延納税額の滞納等の条件に違反した時又は担保変更の命令に応じなかつた時は、その許可を取り消すことができる。